電磁弁(ソレノイドバルブ)の2位置と3位置の違いとは?3位置の役割を解説
シリンダ駆動用の電磁弁(ソレノイドバルブ)には切り替え方式がいくつも存在し、それぞれどのような役割を持つか把握しておく必要があります。
過去の記事でシングルソレノイドとダブルソレノイドの違いについては説明していますが、これらは2位置タイプのもの。これとは別に3位置タイプが三種類も存在します。
本記事では2位置と3位置の違いと、3位置タイプの電磁弁の種類と役割について説明します。2位置シングルと2位置ダブルの違いについては過去記事ご参照ください。
2位置と3位置の違い
5ポート電磁弁の2位置タイプは、PポートからBポートへエアが供給されAポートからRポートポートに排気されるパターンと、PポートからAポートへエアが供給されBポートからRポートに排気されるパターンの2つのポジションがあります。
5ポート電磁弁の3位置タイプは、2位置と同様にP→B,A→Rのパターン、P→A,B→Rのパターン、これに加えてもう一つのパターンが存在し3つのポジションがあります。
このようにエアの流れパターンが2つのものは2位置、3つのものは3位置という違いがあります。
3位置の電磁弁にはソレノイドが2つ付いており、ソレノイドaに通電した時、ソレノイドbに通電した時、そしてどちらにも通電していない時の3パターンで内部のスプール位置が変わり、エア流れをそれぞれ切り替えています。
3位置タイプの中にも種類があるので事項で説明します。
3位置タイプ電磁弁の種類
3位置の電磁弁の中にも3つの種類が存在します。3位置クローズドセンタ、3位置プレッシャセンタ、3位置エキゾーストセンタの3種類です。
ソレノイドに通電することでP→B,A→RのパターンとP→A,B→Rのパターンのエア流路切り替えができることは、3位置タイプのどの種類においても変わりはありません。
この3種類で違いが出るのは非通電時のエア流路です。非通電時のエア流路がそれぞれどのようになるのか説明します。
クローズドセンタ
非通電時はP,A,B,R1,R2と全てのポートが封止された状態になります。エアシリンダ側のエアが閉じ込められ流れが止まるため、エアシリンダをその場の中間位置で停止させることができます。
エアシリンダをストロークエンドだけでなく、中間位置で停止させたい時に3位置クローズドセンタの電磁弁は使用されます。
プレッシャセンタ
非通電時はPポートからA,Bポート両方に給気される状態になります。エアシリンダのロッド側とヘッド側どちらにもエアが給気されます。
エアシリンダの押し側の推力と引き側の推力をバランス状態にしたい場合に使用されます。
例えば、ブレーキ付のシリンダはブレーキ時に負荷がかかるとブレーキ機構が摩耗してしまうため、プレッシャセンタの電磁弁でバランスさせます。
また、バランス状態にすると手動で負荷のついたエアシリンダを動かすことができるようになるため、バランサーの用途でもプレッシャセンタの電磁弁が使用されます。
実際にバランス状態にするには、ロッド側はロッド分の受圧面積が少なく推力が落ちるため、ヘッド側への供給圧力をレギュレータで減圧させる必要があります。
エキゾーストセンタ
非通電時はA,BポートともにRポートに排気される状態になります。エアシリンダのロッド側、ヘッド側ともにエア圧力が抜けることになります。
パイロットチェック弁のという機器と組み合わせて、クローズドセンタの電磁弁よりも信頼性の高い中間停止をさせたい時などに使用されます。
また、停電時に自動的にエア圧がエアシリンダに残らないように安全対策のために使われるケースもあります。
まとめ
以上が電磁弁の2位置と3位置の違い、そして3位置のそれぞれの種類の動きと役割についてでした。
電磁弁2位置タイプのシングルソレノイド、ダブルソレノイドに加え、3位置タイプのクローズドセンタ、プレッシャセンタ、エキゾーストセンタを使いこなせるようになると、エア機器制御の幅がグンと広がります。それぞれの役割を把握し、適材適所で使い分けできるようにしていきましょう。
また、座学だけでなく実施に動きを確認したり触ったりしたほうが忘れずに身につくものです。基礎をしっかり固めたい方はトレーニングキットの導入を検討してみましょう。