空気圧機器とは何のこと?初めに知っておくべき基礎知識

空気圧機器の基礎知識

2021年10月9日

空気圧機器は古くから世界の多くの工場で使用されており、現在に至っても自動化装置には欠かせないパーツです。

よくテレビで食品メーカーなどの工場内が映し出され、自動で動く装置を見ることがあるでしょう。実はこの自動で動く機構の多くに空気圧機器が使われているのです。

本記事ではまず「空気圧機器とは何か?」、基礎的な知識について学び、理解を深めていきましょう。

空気圧機器=圧縮された空気の力を利用して仕事をする機器

空気圧機器はその名の通り、空気圧の力によって仕事をする機器です。では、そもそも空気圧とは何なのでしょうか。

空気圧とは空気の圧力のこと。空気は状態を変化させやすく、小さく圧縮させる事が可能です。圧縮された空気のことを圧縮空気と呼びます。

空気は圧縮させることで力を生み出します。風船を膨らませる時を思い浮かべてください。風船に空気を吹き込むと膨らみますが、これは風船内に圧縮空気が入る事で内側から外側へ力が働くためです。

空気圧機器とは、このように空気を圧縮させることにより生じる力を利用した機器のことなのです。

補足

圧縮空気の圧力を示す単位はMPa(メガパスカル)kPa(キロパスカル)で表記されます。

エアシリンダの動作原理について

空気圧機器が何をする物なのかを説明する上でまず知っておいていただきたいこととして、空気圧機器の代表格とも言える「エアシリンダ」について説明をしておきます。

エアシリンダにはさまざまな形状のタイプが存在しますが、最もスタンダードなのは下写真のような筒状の形をした物です。

このエアシリンダ内に圧縮空気を入れることで先端のピストンロッドが前後に動作をします。

シリンダの動き

どうして圧縮空気によってピストンロッドを動作させる事ができるのか、その原理について説明します。

エアシリンダの内部は空洞になっており、ピストンによって二つの部屋に分かれています。ロッド側の部屋をA、ヘッド側(お尻側)の部屋をBとしましょう。

シリンダの部屋

また、エアシリンダにはポートと呼ばれる、内部の部屋につながる穴があり、部屋Aにつながるのと部屋Bにつながる2つがあります。

ここでは部屋Aにつながるポートをa、部屋Bにつながるポートをbとしましょう。

シリンダのポート

それでは動作説明です。まずポートbから部屋Bに圧縮空気を供給し、部屋Aの空気はポートaから外に逃がし(排気)ます。

シリンダ給排気

するとピストンによって隔てられた部屋ABの間に圧力差が生まれ、部屋Bの圧力が部屋Aの圧力より高くなります。

前項で風船に例えて説明したように、部屋B内の圧縮空気によって外側への力が加わるため、ピストンがその力で押され、結果ピストンロッドが前方へ動作します。

シリンダ前進

この時エアシリンダはただ動作するだけではなく、とても強い「押す力」を発生させてます。この力を業界的には推力(すいりょく)と呼びます。

人の指程度のサイズのエアシリンダでも推力は100N、つまり10kgのものでも動かせる力が出せるのです。(推力は圧縮空気の圧力によって変化します)

エアシリンダの中には直径300mmの大きなサイズもあり、この大きさなら3トン以上のものを動かす力があります。いかにエアシリンダが高効率に巨大な力が出せる機器であるかがお分かりになるでしょう。

ちなみにですが、エアシリンダのピストンロッドを後退させるには先ほどと逆のことを行います。

ポートaから部屋Aに圧縮空気を供給し、部屋Bの空気はポートbから外に逃がし(排気)ます。すると部屋Aの圧力が高くなりピストンロッドは後方に動作します。

シリンダ後退

この時部屋Bの空気を排気しているのは、圧力が部屋内に溜まったままだと、いくら部屋Aに圧縮空気を入れても部屋AB間に圧力差が生まれず動作しないからです。

しっかりとエアシリンダを動作させるには圧力差が必要で、そのため排気させることも重要だということを覚えておきましょう。

空気圧機器が果たす役割とは

それではエアシリンダなど空気圧機器は、実際にどのような仕事をしてどのような役割を果たしているのでしょうか?その一部の例を紹介します。

動かす、搬送する

自動装置で物を数mm〜数mの移動や搬送をさせたい時に、エアシリンダで行う事が可能です。100kg以上の物を動かしたり、100℃以上の熱がかかる環境で使用するなど、人が作業できないような仕事も可能になります。

押さえる、固定する

物を強い力で押さえつけたり、加工や溶接作業の際に作業しやすいように対象物を固定させたい場合などにエアシリンダが使われます。強い推力が出せるエアシリンダの特徴が活かされます。

圧入する、打ち抜く

強い力を必要とする圧入や鉄板などの打ち抜き作業などにエアシリンダが使われます。こちらも強い推力が出せるエアシリンダの特徴ゆえに使用されます。

つかむ

ものをつかむ作業をする時にもエアシリンダが使われます。チャックと呼ばれるエアシリンダの一種で、手の指で掴むように2本もしくは3本の爪でものをつかみ、移載用途に使用されます。

吹き飛ばす

小型の製品を大量生産する際、大量に流れてくる製品から不良品をラインから除外したい時に不良品をエアで吹き飛ばします。ここではエアシリンダは使わず単純に圧縮された空気の力が利用されます。

冷やす

自動装置にはモーターやその他にも熱を持つ機器が多く使われます。長時間使っていると故障する恐れがあるため、圧縮空気を吹き付けることで機器を冷やします。熱いものを食べる時にフーフーするのと同じです。

空気圧機器の基本的な構成

空気圧機器で様々な作業ができる事が分かりましたが、ただエアシリンダを入手すればこのような事ができるわけではありません。

そもそも圧縮空気を作らなければなりませんし、エアシリンダも各ポートの空気を出し入れしないと前後に動きません。

最後に、空気圧機器を使用するのに必要な基本的な構成を説明します。

コンプレッサー

圧縮空気を作る装置をコンプレッサーと言います。これがないと空気圧は成り立ちません。自転車の空気を手動で入れる際に、ハンドルを持って上下にポンピングすると思いますが、それを自動で行ってくれる装置です。

アフタークーラー

コンプレッサーで作られる圧縮空気はとても熱い状態です。熱い空気は冷やされると結露して水分が発生します。冬に暖房で暖められた室内の空気が温度の低い外気の触れる窓で冷やされて水滴がつくのはこのためです。

アフタークーラーはコンプレッサーから出た熱い空気を冷やして強制的に水分を出してしまうものです。先端につけるエアシリンダなどの機器は水に弱いため、このような機器が必要となります。

メインフィルタ

コンプレッサーから出る圧縮空気はきれいなものではありません。異物が入ることもありますし、油分が混ざっていることもあります。

メインフィルタはこのような異物や油分を除去するための機器です。メインフィルタを設置することにより、この後に設置するエア機器を故障やトラブルから守ります。

エアドライヤ

アフタークーラーやメインフィルタにより水分、異物、油分を除去しましたが、まだこれでは不十分です。圧縮空気をさらに乾燥させるエアドライヤが必要です。

空気圧機器を使用していると空気圧力の増減が頻繁に起こりますが、増圧、減圧により空気温度も急激に変化します。

圧縮空気中に湿気があると、その温度変化により結露し水分が発生してしまうのです。そのため、さらに空気を乾燥させるエアドライヤが設置されます。

FRL(三点セット)

コンプレッサ〜エアドライヤで大元の綺麗な圧縮空気が作られましたが、そこから多数の配管に分岐させ様々な装置や用途に使用されることになります。

そのそれぞれの装置や用途の手前部分にFRLユニットが設置されます。三点セットと呼ばれることもあります。

異物・水分を除去するフィルタ(F)、空気圧力を減圧して調整するレギュレータ(R)、最近使われることはほとんどありませんがオイルを機器に供給するルブリケータ(L)の三点のことを示します。

空気はすでに綺麗なはずなのになぜまたフィルタを設置するのかというと、空気が長い配管を通る過程で異物や水分が入る可能性もあるためです。

FRL関係の詳細は下の記事をご参照ください。

電磁弁(ソレノイドバルブ)

圧縮空気の流れる方向を変えるために電磁弁という機器が使われます。エアシリンダを前後に動く仕組みは前述の通りですが、動作させるには圧縮空気を供給したり排気させたりする必要があります。

その供給と排気を、電磁弁へ電気を通電したり通電を切ったりすることで自動で切り替える事ができます。エアシリンダのためだけでなく、圧縮空気を吹きつけたり止めたりを切り替えるためにも電磁弁が使われます。

詳しくは下の記事をご参照ください。

エアシリンダ

前述の通りです。空気圧機器の最末端にエアシリンダは使用され、装置の中で物を動かしたり押し付けたりつかんだりと実際に仕事をする機器です。

このエアシリンダを使用するために他の空気圧機器は存在すると言っても過言ではありません。(圧縮空気の吹き付けなど例外もありますが)

スピードコントローラ

エアシリンダの動作スピードを調整するためにスピードコントローラが使用されます。よくスピコンと略されることが多いです。

スピコンにはツマミがついており回すことで空気の通り道をせばめたり広げたりする事ができ、狭めるとエアシリンダのスピードは遅く、広げると早くする事ができます。

継手・チューブ

空気圧機器用の配管部品として継手・チューブは必須のアイテム。FRLと電磁弁、電磁弁とエアシリンダ、など空気圧機器同士をつなぎ合わせるためのものです。

チューブの材質は主にナイロンやウレタンで、空気の通り道となる中空になっている部材です。長さは必要に応じて切って調節します。

継手は、チューブをエアシリンダなど空気圧機器につないだり、チューブを分岐させたりするものです。

まとめ

空気圧機器とは、簡単に言うと圧縮された空気の力を利用してものを動かしたり押したり移動させたりつかんだりと言った仕事をする機器のことです。

ここで紹介した空気圧機器やその用途はごくごく一部の代表的なもの。まずは基本を理解して、その上で他にどのようなものがあるのか、SMCやCKDなどメーカーのホームページを眺めてみると面白いですよ。

空気圧機器は昔から現在、未来にかけても必ず必要なものですので、しっかり基礎をマスターしていきましょう。