エアシリンダ用オートスイッチとは?使い方や仕組み・原理について解説
エアシリンダにはオートスイッチを搭載させることができます。装置を構成するには必要不可欠のアイテムです。
メーカーによって呼び方は異なり、SMCはオートスイッチ、CKDはシリンダスイッチと呼んでいます。シリンダセンサと呼ぶ方もいますね。
本記事ではエアシリンダ用オートスイッチの使い方、仕組みの他、配線方法や調整方法などについて詳しく解説します。
オートスイッチの使い方・用途
オートスイッチは、エアシリンダのロッド位置を検知する役割を担っています。例えば、エアシリンダのロッドが伸びきった後に、モーターを回したい工程があるとします。
エアシリンダを動かすのも、モーターを回すのもPLC(Programmable Logic Controller、プログラマブルロジックコントローラ)から指令を出して実行できます。
このPLCにて「エアシリンダが伸びきったらモーターを回す」という手順をプログラムとして覚えて、装置の動きを設定していくことになります。
しかし、モーターを動かす指令を出すにはエアシリンダが伸びきったことをPLC側で把握できなければなりません。
オートスイッチをエアシリンダのロッド位置が伸びきった時に反応するように設置することでこの課題は解決します。
オートスイッチが反応すると電気信号がPLC側に送られるため、PLCはその信号を持って「エアシリンダのロッドが伸びきった」と認識して、次の動作(モーターを回す)に移れます。
オートスイッチは設置位置を調整することで、エアシリンダが引き込んだ時に反応するようにもできますし、中間位置に設置して固定サイズのワークをクランプした時に反応させるということもできます。
このように、オートスイッチはエアシリンダのロッド位置を装置側に知らせる機器として重要な役割を持って使われるものです。
オートスイッチの仕組み・原理
オートスイッチが使えるエアシリンダのピストンには磁石が仕込まれています。この磁石が近づくことでオートスイッチは反応します。
そのため、ロッドが伸びているのを検知したければその時のピストンの位置、ロッドが引き込んでいるのを検知したければその時のピストンの位置に合わせてオートスイッチを設置してあげれば良いわけです。
また、オートスイッチには有接点と無接点の2種類が存在しており、それぞれ反応する原理が異なります。その違いについては以下記事をご参照ください。
オートスイッチ位置の調整方法
オートスイッチの位置を調整する手順を説明します。
まずはエアシリンダのロッドを、オートスイッチを反応させたい位置に動かします。
オートスイッチを配線もしくはセンサチェッカーに繋ぎ、磁石に近づいたら反応する状態にします。
次にオートスイッチをエアシリンダに取り付け、オートスイッチが反応する位置を探します。
オートスイッチは反応する範囲が数mmあり、反応範囲の中間位置に設置するのが理想です。反応範囲のギリギリに設置してしまうと、検知が不安定になってしまうためです。
オートスイッチの反応範囲の両端の位置を確認します。
確認した反応範囲の中央位置にてオートスイッチを固定して位置調整完了です。
また、2色表示タイプにするとコストは上がりますが位置調整が容易になります。反応すると赤色になり、反応範囲の中央付近では緑色になるため、安定位置がすぐ分かります。
オートスイッチの精度
オートスイッチの反応範囲は前述の通り数mmあり、オートスイッチの種類とエアシリンダの組み合わせによりその範囲は異なります。
同じオートスイッチであっても、エアシリンダの種類により内部の磁石との距離が変わるため、検出できる範囲も変わってくるのです。
検出範囲が2~3mmほどの機種もあれば、15mmほどの機種もあります。検出範囲を狭めて精度をよくセンシングしたい場合は、外部に別センサを設けたりリニアスケールを設置するなど工夫が必要です。
オートスイッチの配線方法
オートスイッチには2線式と3線式が存在します。2線式はプラスとマイナスの2線、3線式はプラスとマイナスの他に出力線があります。
茶色線はプラス、青線はマイナスにつなぐのがスタンダードです。3線式の場合は茶、青に加えて黒線がありこれが信号出力線となります。
また、試運転の際などに電源に直接配線しないように注意しましょう。
オートスイッチはリレーやPLCに配線することが前提に作られており、それらが抵抗となるため問題ないですが、動作チェックの際など直接電源を繋ぎたい時もあります。
そのような時は抵抗器を間に配線するか、センサチェッカーを使用するようにしましょう。そうしないとランプが点灯しなくなったり、スイッチがONしっぱなしになったりなどの不具合が生じます。
2線式のオートスイッチをセンサチェッカーに配線する場合は下写真のように配線しましょう。
茶色線を誤って+18Vに配線すると故障しますので必ずNPNに配線してください。3線式のオートスイッチの場合は下写真のようになります。
誤配線でのオートスイッチ故障はよくあるため、電気仕様をしっかり確認した上で配線するようにしましょう。
まとめ
オートスイッチには様々な種類があり、それぞれ調整方法や配線方法も違ってきます。オートスイッチのバリエーションを把握しておき、適材適所で選べるようにしておきましょう。