エアシリンダのエアクッションとラバークッションの違いとは?
エアシリンダは動作速度が速くなったり負荷が大きくなると、終端に衝突した際の衝撃が大きくなります。
衝撃が大きくなるとエアシリンダ内部のピストンやピストンロッドが故障したり、衝突時の音が大きくなるなどの不具合が生じてしまうのです。
この衝撃を緩和させるためにエアシリンダにはクッション機構が設けられており、主にエアクッションとラバークッションの2種類が存在します。
本記事ではこのエアクッションとラバークッションの違いが分かるようにそれぞれ説明していきます。
エアクッションの構造
エアクッションはストローク終端でエア流路を絞ることで動作速度を減速させ、衝突時の衝撃を緩和させる機構です。
エアクッションタイプでは下図のようにクッションパッキン、クッションリング、クッションポート、クッションニードルが設けられています。
エアシリンダを動作させると始めはメインの流路から排気されます。
エアシリンダが動作しストローク終端に差し掛かると、クッションリングがクッションパッキンの内径にハマり、メインの排気流路がシールされます。
するとクッションポートからの排気となるため流路はクッションニードルによって絞られ、エアシリンダの動作は減速します。
このようにエアクッション機構では、ストローク終端で動作速度を減速させることで衝撃を緩和させることができます。
クッションの効き具合はクッションニードルによって調整することも可能です。ただしクッションを効かせすぎるとバウンドしてしまうので注意してください。
ラバークッションの構造
ラバークッションはエアシリンダのストローク終端で接触する部分に、ゴム材を設けて衝撃を緩和させる機構です。
ラバークッションタイプではエアシリンダ内部のピストン部にゴム材が設置されます。(本体カバー側につける場合もあります。)
エアシリンダが動作しストローク終端でゴム材部分が接触するため、金属同士が接触する場合に比べて衝撃が緩和し、衝突音も減少します。
エアクッションとラバークッションの特徴の違い
エアクッションとラバークッションでは大まかに次のような特徴の違いがあります。
クッション機構 | 衝撃緩和 | 効き具合調整 | 価格 |
---|---|---|---|
エアクッション | ○ | ○ | △ |
ラバークッション | △ | ✕ | ○ |
エアクッションはストローク終端で動作速度が減速するため、大きな衝撃緩和が期待できます。
また、クッションニードルによってクッションの効き具合も使用場面によって調整することができるのもメリットです。
ただし構造はラバークッションの方がシンプルなため、価格はエアクッションよりラバークッションの方が安くなります。
まとめ(エアクッションとラバークッションの使い分け)
より大きな衝撃緩和をさせたいのであればエアクッションが必要です。終端で減速するため見た目としてもスムーズな動作を実現できます。
ただし、価格はラバークッションの方が安くなるため、そこまで大きな衝撃がない場合、単に衝突音を少し和らげたい程度であればラバークッションが良いでしょう。
逆にエアクッションの場合、組立時に調整の手間が入るため、どちらでも良い場合はラバークッションを選ぶのがベターです。