エアシリンダの推力は給気エアの圧力とシリンダの受圧面積(ボア径)で決まります。
シリンダ推力(N)= シリンダ受圧面積(㎟)× エア圧力(MPa)
そのため、シリンダ推力を変化させるにはシリンダサイズを変更するか、エア圧力を調整するしかありません。
本記事ではシリンダ推力変化の説明と、シリンダ推力を自動で可変させる方法の紹介をします。
シリンダサイズ(ボア径)を変更する
エアシリンダのサイズを変更することで推力を変化させることができます。
例えば給気エアを0.5MPaとして、ボア径Φ25のシリンダを使用すると、推力は約245Nとなります。
推力を上げるため、ボア径Φ32のシリンダに変更してみます。すると推力は約402Nと60%以上もUPさせることができます。
また、シリンダを並列に2本並べた形状のツインロッドシリンダや、シリンダを直列に2本並べた形状のタンデム形シリンダを使用すると、ボア径はそのままでも推力は2倍になります。
エア圧力を調整する
シリンダサイズを変えなくとも、エア圧力を調整することでシリンダ推力を変化させることができます。
例えばボア径Φ25のシリンダを、エア圧力0.5MPaで使用すると、シリンダ推力は約245N。
そこでレギュレータでエア圧力を0.6MPaに増圧させると、シリンダ推力は約294Nとエア圧力に比例して20%UPします。
工場エアが今以上上げられない場合はブースターを使用しましょう。SMCのVBAシリーズやCKDのABPシリーズが該当します。
騒音やエア消費量が気になる場合は、アネスト岩田のブースターコンプレッサーEFBSシリーズがエネルギー効率が良くオススメです。(コストは少し高くなります)
シリンダ推力を自動可変させたい場合は電空レギュレータを使用する
シリンダを変えたり手動でエア圧力を調整したりせずとも、電気制御で自在にシリンダ推力を可変させたい局面では電空レギュレータを使用しましょう。
電空レギュレータとは、入力電圧(もしくは入力電流)に比例してエア圧力を可変させられる製品です。機種によってはチャンネル設定もできます。
電空レギュレータは、SMCのITVシリーズやCKDのEVDシリーズもしくはEVRシリーズが該当します。
ラフな制御で良ければSMCでも良いですが、精度やオーバーシュートが気になる場面ではCKDの電空レギュレータの方が性能が上なのでオススメです。(カタログスペック上は変わりませんが)
まとめ
エアシリンダの推力を決定する要素は、シリンダサイズとエア圧力しかありません。
シリンダサイズを変えるかエア圧力を変えるかどちらで対策したら良いのか、装置レイアウトや工場エアなどの設備面をよく検討して判断しましょう。
また、自動でシリンダ推力を可変させたい場合は電空レギュレータを使用する必要があります。
電空レギュレータは数万円はしますので、コストを加味し、自動にすべきか手動でも良いのかを検討してみてください。