エアシリンダの適正な取り付け方法と注意点

2023年11月30日

エアシリンダは、圧縮空気を利用してピストンを往復させることで、ワークを動かしたり搬送させたりするための機器です。エアシリンダの正しい取り付け方法は、安全かつ正確な作動を保証するために非常に重要です。本記事では、エアシリンダの適正な取り付け方法と注意点について解説します。

エアシリンダを取り付ける前に必要な準備

まずは取り付けるエアシリンダの性能や仕様を確認することが大切です。使用環境やワークの重量、動作速度などに応じて適切なエアシリンダを選び、取り付け位置や方向、取り付け金具などを決定します。

また、エアシリンダの取り付けに必要な工具や部品を用意することも重要です。一般的に必要な工具にはレンチやドライバーなどがあります。また、取り付け金具やガイド、フローティングジョイントなども必要に応じて用意する必要があります。

取り付け方によっては、エアシリンダの動作に支障をきたす恐れがあるため、取り付け面を平らに整える必要があります。また、エアシリンダの取り付け位置が高い場合は、落下防止のための支持金具を取り付けることも検討しましょう。

エアシリンダの取付金具の種類と用途

エアシリンダを取り付ける際には、ボディ本体に取り付け穴が空いており、直接取り付けられる種類もありますが、そうでない場合は取付金具が必要です。代表的な取付金具を以下に紹介します。

フート形

フート金具は、L字型の取付金具で、エアシリンダを取り付け面に平行に設置するために使われます。取り付け方は比較的簡単で、標準的なエアシリンダによく使用されます。また、エアシリンダで動作する負荷の運動方向と、シリンダピストンの運動方向が平行になるように取り付ける場合に使用されます。

フート金具

フランジ形

フランジは、エアシリンダを取付面に対し垂直に取り付ける場合に使用される取付金具です。フート形と同様に、エアシリンダで動作する負荷の運動方向と、シリンダピストンの運動方向が平行になるように取り付ける場合に使用されます。

フランジ金具

トラニオン形

トラニオンはエアシリンダ本体の側面にシャフトを伸ばした形状の取付金具です。シャフトを支点としてエアシリンダ自体を揺動運動できるようになっています。負荷の運動方向とシリンダピストンの運動方向が同じ方向にならない場合や、負荷を揺動させる使い方をする際に使用されます。

トラニオン金具

クレビス形

クレビスは、エアシリンダの反ロッド側に設置されるシャフトを通すための穴が空いている取付金具です。取り付け面にもブラケットを設置し、シャフトを通してクレビスと連結させます。トラニオンと同様に、シャフトを支点としてエアシリンダを揺動運動させることができます。負荷の運動方向とシリンダピストンの運動が同一とならない場合や、ワークを揺動運動をさせたい場合に使用されます。

クレビス形

ナックル

ナックルは、エアシリンダのロッド先端に設置され、シャフトを通すための穴が設けられた取付金具です。トラニオンやクレビスを用い、負荷を揺動運動させる場合、ロッドと負荷の連結部分を固定してしまうと揺動できません。そのため、ナックルと負荷をシャフトで連結することで揺動動作が可能となります。

ナックル金具

エアシリンダの取り付け時の注意点

エアシリンダを取り付ける際には、以下の点に注意してください。

ロッドへの横荷重

エアシリンダを設置する際、ピストンロッドに横荷重がかからないようにすることが重要です。横荷重がかかると、エアシリンダの軸受などの内部部品に負荷がかかり、不具合や故障の原因になることがあるためです。

必要に応じて、ガイドを設けることも大切です。横荷重をガイドで受けることでエアシリンダ自体へ横荷重がかからなくなり、エアシリンダの寿命を延ばすことができます。

ロッドの芯ずれ

ロッドの芯ずれにも注意が必要です。ロッドの芯ずれが生じると、ピストンが斜めに動いてしまい、軸受やパッキンに負荷がかかり、シリンダの寿命を短くしたり不安定動作につながることがあります。芯ずれを防ぐためには、ピストンロッドを正確にセンタリングする必要があります。

必要に応じてフローティングジョイントを取り付けることも考慮してください。フローティングジョイントを取り付けることで、シリンダの動きに柔軟性が加わり、シリンダの寿命を延ばすことができます。

ボルトの緩み

ボルトの緩みにも注意が必要です。エアシリンダはストローク動作の終端で衝撃が発生しますが、その振動でボルトが緩んでしまう可能性があります。取り付けボルトが緩んでしまうとエアシリンダの動作が不安定になったり最悪の場合事故につながる可能性もあります。ボルト取り付け時は緩みにくくなるよう増し締めをするようにしましょう。また、定期的な点検を行い、ボルトの緩みがないか確認することも重要です。

取り付け面の加工

エアシリンダの種類によっては取り付け側の面にも気を使う必要があります。例えばシャフトガイド型のエアシリンダの先端プレートに治具を設置する際、治具側の取り付け面の面精度が荒いと、取り付け後にシャフトがハの字に傾き、摺動抵抗が高くなり動作が渋くなることがあります。使用機種の取扱説明書にて取り付けの際の注意事項をよく確認するようにしましょう。

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タクミ

種類によっては特殊な取り付けが必要な場合もあるので取扱説明書をよく確認してしましょう

まとめ

本記事では、エアシリンダの適正な取り付け方法と注意点について解説してきました。エアシリンダを取り付ける前には、必要な準備をしっかりと行い、取付金具の種類と用途についても把握しておくことが大切です。

エアシリンダを取り付ける際も、ピストンロッドに横荷重がかからないようにすることや、必要に応じてガイドやフローティングジョイントを設けることなど、安定動作や故障を防ぐための注意が必要です。

エアシリンダ

Posted by Takumi