空気圧機器のメンテナンス ~初心者でもできる手順と注意点~
空気圧機器の正しいメンテナンスは、機能を保つために非常に重要です。メンテナンスを怠ると、機器が故障したり機能しなくなる可能性があります。
本記事では、初心者でも分かりやすく、手順がしっかり解説されているため、安心して取り組むことができる空気圧機器のメンテナンス手順や注意点について説明します。
空気圧機器のメンテナンスの重要性について
空気圧機器は、正しくメンテナンスされなければ正常に機能しなくなり、機器の早期故障につながります。装置の安定稼働にも支障が生じるため生産効率も悪くなり、大きな損失を招きかねません。
メンテナンスを怠ると、エアフィルタが詰まり、圧縮空気の量が流れなくなったり、レギュレータの調整がずれて、圧力調整がうまくいかなくなることがあります。また、エアシリンダやソレノイドバルブもエア漏れにより正常な能力が発揮できないなど、動作不良を起こすこともあります。
さらに、メンテナンスを怠ることで機器の寿命を縮めることにもつながります。機器が壊れた場合は修理や交換が必要となり、場合によっては大きな負担となることがあります。一方で、定期的なメンテナンスを行うことで、機器の寿命を延ばし、結果的にコストを削減することができます。
以上のように、空気圧機器のメンテナンスは、安全性の確保や機器の寿命延長などの観点から非常に重要であり、定期的なメンテナンスを行うことが必要不可欠です。
メンテナンスに必要な道具
次に、空気圧機器のメンテナンスに必要な道具について説明します。主に必要な道具としては、以下のものが挙げられます。
- 六角棒スパナ
- スパナ
- モンキレンチ
- ドライバー各種
- クリーニングブラシ
- エアガン
- 木ハンマ
- 千枚通し
- プレス治具
- 他一般的な工具各種
また、道具以外にも、メーカーから提供されるマニュアルや取扱説明書を参考にすることも重要です。これらの資料には、正しいメンテナンス方法や注意点が記載されているため、事前に確認しておくことが大切です。
各空気圧機器のメンテナンス方法
主な空気圧機器のメンテナンスとして、以下に、エアフィルタ、エアレギュレータ、ソレノイドバルブ、エアシリンダについて、それぞれのメンテナンス方法を説明します。
エアフィルタのメンテナンス
日常管理としてはドレン排出とエレメントの汚れの確認が必要です。
ドレン排出部の確認
ドレンがボウル内に溜まっているかどうか確認し、使用している機種に規定された量を超えて溜まっている場合は排出してください。基本的には毎日確認が必要です。また、オートドレンタイプを使用しているにも関わらずドレンが排出されていない場合、オートドレン機構が故障してる可能性があります。その場合はオートドレン部の異物を取り除くことで解消されることもありますので洗浄してみてください。またはオートドレンの部品を交換しましょう。
エレメント汚れの確認
エレメントの汚れは圧力損失を引き起こし、流せるエア流量が減少してしまう可能性があるため、半年に1回程度の頻度で確認しましょう。エレメントが著しく汚れている場合は、新しいエレメントに交換するか、中性洗剤もしくは白灯油で洗浄しましょう。
エアレギュレータのメンテナンス
日常管理として、圧力が正常に調整されているかを確認することが重要です。圧力異常は装置の正常な稼働に大きく影響するため、日々点検を実施するようにしましょう。
圧力調整異常がある場合は、分解をしてバルブ部付近やダイヤフラムの状態を確認してください。バルブ部に異物がある場合は、除去・洗浄を実施し、ダイヤフラムが破損している場合は交換しましょう。部品の洗浄には白灯油を使用するのが良いでしょう。
ソレノイドバルブのメンテナンス
ソレノイドバルブの日常管理は、排気ポートからのエア漏れを確認することが重要です。1年に1度程度、実施するようにしましょう。エア漏れが確認できた場合、エアシリンダ側のエア漏れである可能性もあるため、一度エアシリンダとの接続を切り離し、二次側ポートを塞いだ上でエア漏れが発生するかどうかを確認しましょう。
ソレノイドバルブのエア漏れであることが確認できた場合は、内部パッキン類の交換や内部部品の洗浄を行ってください。洗浄は良質な白灯油を使用しましょう。ただし、分解が不可能な場合もあるため、その場合は新品と交換する必要があります。
また、電気を通電しても反応がない場合は、コイルが故障している可能性が高いため、コイル部を交換してください。以上の点に注意し、不具合の事象に応じて適切なメンテナンスを行いましょう。
エアシリンダのメンテナンス
エアシリンダの日常管理としては、月1回程度、ロッド部からのエア漏れ有無を確認しましょう。また、ソレノイドバルブの排気ポートからのエア漏れがある場合、エアシリンダのピストン部の漏れである可能性もあるので、頭に入れておきましょう。
分解・洗浄・再組み立て
エア漏れが確認できた場合は、パッキンの摩耗が原因である可能性が高いため、分解してロッドパッキン、ピストンパッキンなどシール部品の交換を実施してください。内部部品の汚れが著しい場合は、白灯油で洗浄し、グリース塗布をパッキン類、シリンダチューブ内面、ピストン、ピストンロッドに施して再組み立てしてください。グリースの種類は使用機種に合ったものを使用しましょう。一般的にはリチウム石けん基グリースが使用されます。
動作確認・漏れ検査
再組み立て後は、まずならし運転を行ってから動作確認を実施してください。エア加圧によりエアシリンダの往復動作を行い、スムーズに動作することを確認しましょう。その後、使用圧力を加圧し、ロッド部からのエア漏れ有無を検査してください。ロッド部に石鹸水やモンジュ液などをつけ、泡が出ないことを確認することで検査することが可能です。細かい泡が少量発生する程度は許容範囲です。
メンテナンスの頻度と注意点
空気圧機器のメンテナンスは、定期的に行うことが大切です。特に、エアフィルターは使用頻度や環境によってドレンや汚れがたまりやすく、メンテナンスを怠ると二次側の機器の寿命に影響する可能性があるため、定期的にメンテナンスをする必要があります。
さらに、メンテナンスを行う際には注意点があります。必ず機器の電源を切り、残圧を抜いた上で実施することが必要です。空気圧がかかった状態でメンテナンスを行うと、危険な事故が発生する可能性があるためです。また、専門的な知識や経験が必要な作業については、プロの技術者に依頼することが必要です。対象となる機器の取扱説明書の注意事項を確認して作業を実施するようにしましょう。
まとめ
以上が、空圧機器のメンテナンスについての基本的な情報です。適切なメンテナンスを行うことで、空圧機器の寿命を延ばし、安全かつ効率的な作業を行うことができます。メンテナンスを怠ることにより、故障や事故が発生することがありますので、適切な頻度でメンテナンスを実施し、問題が発生した場合は早めに対処するようにしましょう。また、メンテナンスを行う際には、必ず取扱説明書などの情報を確認し、正確な方法で作業を行うようにしてください。