ロータリーアクチュエータとは?使い方や構造などについて解説
ロータリーアクチュエータとは、通常のエアシリンダの直進運動とは違い、回転運動をさせるためのアクチュエータです。
エア圧の力によって回転力が生み出されるもので、エアシリンダと同様に生産現場でよく活躍している製品です。
本記事ではこのロータリーアクチュエータの用途や使い方、構造について解説していきます。
ロータリーアクチュエータの用途・使い方を説明
ロータリーアクチュエータは回転動作ができるアクチュエータです。エアシリンダと同様にポートが2つあり、5ポート電磁弁と接続して使用します。
ロータリーアクチュエータの内部では下図のように部屋が2つに分かれています。
ポートBから部屋2にエアを供給し、部屋1からエアを排気すると、部屋2内の圧力が部屋1よりも高くなり、時計回りに回転動作を始めます。
逆にポートAから部屋1にエアを供給し、部屋2からエアを排気すると、部屋1内の圧力が部屋2よりも高くなり、反時計回りに回転動作をします。
このようにしてエアの流路切替により回転動作をするのがロータリーアクチュエータです。
ロータリーアクチュエータはワークの反転動作や、テーブルの往復動作、アームの回転駆動、クランプ作業など、様々な用途に使用されます。
ロータリーアクチュエータの動作角度を調整する方法
ロータリーアクチュエータの動作角度は90°、180°、270°の3種類が一般的で、100°、190°の仕様も存在します。
ロータリーアクチュエータの動作角度を微調整したい時は角度調整機能が付いたものを選択しましょう。
角度調整の方法は機種によって異なり、アジャストボルトのねじ込みによって調整するものや、ストッパユニットの取り付け位置によって調整するものなどが存在します。
使用する機器の取扱説明書に従って角度調整をするようにしましょう。
ロータリーアクチュエータの構造(ベーンタイプとラックアンドピニオン)
ロータリーアクチュエータにはベーンタイプとラックアンドピニオンの2種類があり、それぞれの構造と特徴について説明します。
ベーンタイプ
回転の出力軸にベーンが固定されており、このベーンにエア圧力を受けることで回転動作をする構造です。ベーンが1つで構成されているタイプをシングルベーンと呼びます。
ベーンを2つ設けたものをダブルベーンと呼び、揺動角度に制限ができますが、シングルベーンと比べ2倍の回転トルクが得られます。
ベーンタイプのロータリーアクチュエータは構造がシンプルで小型化できますが、その反面、構造上シール性が悪くエア漏れが起きやすい特徴があります。
ラックアンドピニオン
直線運動のエアシリンダにラックピニオン機構を組み合わせて回転運動に変換させる構造です。
シリンダピストンにラックギアを設け、シャフトと一体になったピニオンギアを噛み合わせることで、直線運動を回転動作に変換しています。
ベーンタイプと異なり、シール性は良くエア漏れは少ないメリットがありますが、構造が複雑でサイズは大きくなりコストも高めになります。
ロータリーアクチュエータの電動タイプ紹介(小型〜大型)
ロータリーアクチュエータのエア漏れや動作の不安定さを解消したい、多点で停止できるようにしたいなど、エアタイプのデメリットを解消するなら電動タイプを検討してみましょう。
小型から大型までおすすめの電動ロータリーアクチュエータを紹介します。
IAI製EC-RTCシリーズ
エアと同様に2点間動作で問題なく、エア漏れ故障や不安定動作の懸念を解消したいのであればIAIエレシリンダのロータリータイプEC-RTCシリーズがおすすめです。
コストもエアとさほど変わりなく、エアタイプのデメリットと言える点を解消できる製品です。ティーチングも停止点が2点のみですので簡単です。
IAI製RCP2-RTCシリーズ
EC-RTCシリーズに加え、停止位置を3点、4点と多点止めさせたい場合はIAIのRCP2-RTCシリーズを検討してみましょう。
小型タイプの電動ロータリーはSMCやCKDもラインナップがありますが、他の電動アクチュエータのバリエーションが圧倒的にIAIが多いため、制御の統一性も加味してIAIを選んでおくのが良いでしょう。
CKD製アブソデックスAXシリーズ
電動ロータリーではトルクが足りず、大型タイプが必要な場合はCKD製のアブソデックスAXシリーズがおすすめです。ダイレクトドライブモーター(DDモーター)と呼ばれる製品です。
IAIもDDモーターを持っていますが、バリエーション、調整のしやすさ、コストと性能のバランスなど圧倒的にアブソデックスが勝っています。最大1000N・mのトルクまで対応しています。
まとめ
ロータリーアクチュエータも通常のエアシリンダと同様生産設備には欠かせないアイテムですが、各種類の特徴を把握して選定する必要があります。
エアタイプならではのデメリットもあるため、回転動作の用途がある際は、必要に応じて電動タイプも視野に入れて検討してみましょう。