耐熱仕様のエアシリンダで高温の悪環境でもOK!SMCとCKDの対応機種も紹介
自動機械の重要な役割の一つとして、人が作業できない環境でも仕事ができることが挙げられます。100℃を超える高温環境でも安定して稼働できなければなりません。
そのため自動機械に使用されるエアシリンダも高温で使用できるものが必要になります。標準シリンダは大体〜60℃の耐熱がスタンダードですので、耐熱仕様のエアシリンダが使われます。
本記事では、耐熱エアシリンダについてその仕様、耐熱温度と主要メーカーの対応品について紹介します。
エアシリンダの耐熱仕様
標準のエアシリンダは高い熱がかかると、早期にエア漏れの不具合が発生します。
標準のエアシリンダは大抵の場合、パッキンはニトリルゴム、グリスはリチウム系のグリスを使用しています。これらの材質は通常の環境であれば耐久性も良く、コストも安いため汎用的に使われていますが、高熱には弱い特徴があります。
ニトリルゴムは高温化では物性が低下することにより摩耗が早まり、リチウム系のグリスは油分が揮発して潤滑性を失うため、早期に劣化しエア漏れを引き起こすのです。
エアシリンダを耐熱仕様にするとパッキンはフッ素ゴム、グリスはフッ素系のグリスが使用されます。この変更により多少コストはUPしますが、100℃を超えるような高温環境下での耐久性は確実に向上します。
エアシリンダの耐熱温度
標準のエアシリンダの最高使用温度はメーカーや機種にもよりますが60℃までを保証とするケースがほとんどです。耐熱仕様は120℃までのタイプや150℃までのタイプなどありますが、概ね150℃が上限となっています。
オートスイッチの耐熱温度
エアシリンダ本体を耐熱仕様にして熱対策をしたとしても、標準のオートスイッチは高温化では使えないため搭載できません。
高温環境下ではオートスイッチも耐熱仕様に変更する必要があります。全てのシリンダに対応しているわけではないため、オートスイッチを高温環境で使いたい際は、耐熱仕様を搭載できるシリンダを選定するようにしましょう。
SMCの耐熱シリンダ一覧
SMCの耐熱仕様に対応しているエアシリンダの機種一覧です。
品名 | シリーズ名 |
---|---|
薄型シリンダ | CQ2 |
ピンシリンダ | CJP2・CJP |
エアシリンダ | CJ2-Z |
エアシリンダ | CM2-Z1 |
エアシリンダ | CM2 |
エアシリンダ | CG1-Z1 |
エアシリンダ | CG1 |
エアシリンダ | MB |
エアシリンダ | MB1 |
CKDの耐熱シリンダ一覧
CKDの耐熱仕様に対応しているエアシリンダの機種一覧です。
品名 | シリーズ名 |
---|---|
スーパーコンパクトシリンダ | SSD2 |
スーパーコンパクトシリンダ | SSD |
ペンシルシリンダ | SCP※3 |
タイトシリンダ | CMK2 |
スーパーマイクロシリンダ | SCM |
セレックスシリンダ | SCA2 |
セレックスシリンダ | SCS2 |
ガイド付シリンダ | STG |
ガイド付シリンダ | STS・STL |
セルトップシリンダ | JSC3・JSC4 |
まとめ
エアシリンダを使用する自動機械を運用する上で、特殊な環境に対応しなければならないことは多々課題として出てきます。
今回はその中で高温環境でのエアシリンダ対応品について紹介しました。電磁弁やフィルタ、レギュレータ関係は特に耐熱仕様というものはなく、熱がかからない箇所に設置するようにしてください。
本記事を参考に、エアシリンダの耐熱仕様品がなぜ必要なのか、どのような変更点があるのかなども知識として取り入れ、環境に合ったものを選定するようにしていきましょう。