エアシリンダのスピードを高速化したい時の対処法
装置のタクトを早くするためにエアシリンダを高速に動かしたい場面はよくあることかと思います。
シリンダを高速化するには、回路上の工夫で対処する方法と、高速動作できるシリンダを選ぶ方法があります。
本記事では、シリンダを高速化するための方法を一つ一つ紹介していきます。
スピコンを全開にする、もしくは継手に替える
エアシリンダのスピードの可変にはスピコンを使用することがほとんどです。スピコンのツマミを開けばシリンダは速くなり、絞れば遅くなります。
シリンダを速くしたいのであればまずスピコンのツマミを全開にしてみましょう。(もし速すぎたら絞って調整してください。)
それでもスピードが遅ければスピコンを取り払ってしまい、普通の継手をシリンダに付け替えてみてください。
スピコンはツマミが全開であっても、構造上エアの絞りになってしまうので継手に替えることでシリンダの速度は速くなります。
ただし、シリンダ速度の調整はできなくなりますので注意は必要です。
エアチューブ(配管径)を太くする
配管されているエアチューブが細すぎると、シリンダ内のエア圧力の抜けが悪くなりスピードは遅くなってしまいます。
Φ4のチューブを使っているのならΦ6へ、Φ6でダメならΦ8へとエアチューブの径を太くしてみましょう。
また、できるだけエアシリンダと電磁弁の間のチューブ長さは短くするのもポイントです。長すぎるといくら径が太くてもエアの抜けは悪くなってしまいます。
急速排気弁を使用する
装置レイアウト上エアチューブの長さを短くできない時は、急速排気弁を設置することによりシリンダのスピードを速くすることができます。
通常のシリンダ内のエア圧は電磁弁から排気するので、シリンダと電磁弁をつなぐエアチューブが長いと抜けが悪くなってしまいます。
急速排気弁を設置するとシリンダに近い箇所からエア排気できるので、エアチューブの長さによる抜けの悪さを解消でき、シリンダのスピードが速くなります。
SMCのスピコンと急速排気弁が一体になったJASVシリーズ、ASVシリーズや、後付けで対策するならCKDのレデューサ型急速排気弁のQELシリーズがオススメです。
エア圧力を上げる
エア流量を回路上でいくら多くしてもダメならレギュレータの設定圧力を高くしてみましょう。
エア流路のオリフィスが同じでも圧力が高ければエア流量は増えるのでエアシリンダは速くなります。
ただし、シリンダ推力が必要以上に強くなってしまったり、圧力がシリンダの最高使用圧を超えてしまったりと不都合が起こる可能性も考えられます。
高速動作用のシリンダを使用する
回路上の工夫でエア排気を速くしたり圧力を高くしても、シリンダスピードが目標まで速くならない場合は、シリンダ自体を高速動作に対応したものに変更しましょう。
SMCのハイパワーシリンダRHCシリーズや、CKDのハイスピードシリンダHCAシリーズでは、最大使用速度3,000mm/sの高速で動かせます。
そもそも汎用的なシリンダはスピードが速すぎると終端の衝撃で破損する恐れがあるため、ポートのオリフィスを小さくして速くなりすぎないようになっています。
それに対しRHCやHCAは終端衝撃を抑えるクッション機構が設けられているため、ポートのオリフィスが大きく開けられており速く動かせるようになっているのです。
まとめ
シリンダの速度を上げるために、回路上の工夫でエア排気を速くすることである程度は対策することができます。
それでもダメならシリンダを高速動作用に変更するしかありません。
本記事で紹介したRHCやHCAでは形状がもしNGであるなら、特注でポートオリフィスを大きくできないかメーカーに相談してみるのも手です。
動作終端を外部ストッパで受けるという条件なら対応してくれるかもしれません。