エアシリンダを電動化するときに知っておきたい電動アクチュエータのラインナップ

2023年11月30日

エアシリンダから電動アクチュエータへの移行は年々増え続けています。電動アクチュエータには次のような特徴があるからです。

  • 多点位置決めが簡単
  • 停止位置を簡単に変えられる
  • 終端の衝撃緩和ができる
  • エア源がなくても使える

このようなメリットがありながらも以前はコストが高く敬遠されていましたが、近年ではコスト差が徐々に少なくなっており、移行に拍車をかかっています。

本記事ではエアシリンダから電動アクチュエータに変更するときに知っておくべきラインナップを紹介します。

スライダタイプはIAI製RCP6シリーズ

IAIのRCP6シリーズ

電動アクチュエータの市場は国内ではIAIの独壇場です。その中でも売れ筋シリーズがスライダタイプのRCP6シリーズです。

スペック、バリエーション、コストとどれをとっても優れておりバランスがとても良いシリーズと言えます。

エア機器のロッドレスシリンダと同様の形状ですが、多点位置決めができスピード調整も楽、その上コストも電動の方が安くなるケースが多いです。

スライダタイプの電動アクチュエータを選ぶならまずIAIから検討してみれば間違いはないでしょう。

コスト重視ならSMC製LEFシリーズ

SMCのLEFシリーズ

スライダタイプで、よりコストを重視したい場合はSMC製のLEFシリーズも覚えておきましょう。

IAIのRCP6対抗品であり、ローコストを最大のPRポイントとして開発された製品です。IAIも安いですがそれをも下回ります。

その反面、ガイドの剛性面は弱くガタが大きいのは否めません。それが問題ない使い方であればメリット大です。

2点の停止のみならIAI製エレシリンダ

IAIのエレシリンダ

エアシリンダと同様で2点間の動作のみで良いのであれば、IAI製のエレシリンダが注目を浴びています。

終端の衝撃緩和や細かいスピード調整、エア源がない時など、エアシリンダのデメリットを解消することができます。

価格も通常の電動アクチュエータより安く、コントローラもアクチュエータに内蔵されているため制御盤のスペースも占有しません。

特にロータリーアクチュエータのタイプは、エアはエア漏れしやすかったり速度調整がしづらいため、電動のエレシリンダはメリットが大きいです。

エアシリンダと取付互換のあるCKD製Fシリーズ

CKDのFシリーズ

CKD製のFシリーズはリニアスライドタイプのFLCR、チャックタイプのFLSH、ロータリータイプのFGRCの3機種があります。

FLCRとFLSHはそれぞれエアタイプのLCRシリーズ、LSHシリーズと取付互換があり、エアから電動化したい時に置き換えが容易です。

また、エアから電動に置き換える際の懸念点として、推力の低下が挙げられますが、このFシリーズはエアと同等の推力を実現しています。

そのため、取付の変更も気にせずサイズを大きくする必要もなく、エアから電動化への移行がスムーズに行うことができます。

もう少しシリーズバリエーションが増えると実用性がさらに増してきます。今後の動きにも期待です。

【補足】エアから電動に切り替える際の注意事項

電動化はメリットばかりに思えますが、エアと比較した場合のデメリットもあるので以下注意事項は認識しておきましょう。

  • 電源容量が高くなる
  • 推力が弱くなる(同サイズ比較)
  • トラブル時の融通が効かない

モーターを動かしますので電磁弁と比べて電力量がとても高くなります。単純に置き換えようとすると電源の買い替えも必要性が出てくるかもしれません。

エアと比べて力が弱くなることも懸念です。同サイズで比較した場合はやはりエアの方が有利です。大きな力を出したければエアを選択しましょう。

また、故障すると電動は動かなくなります。エアシリンダであれば多少のエア漏れがあっても何とかごまかしながら使用も可能ですが、電動はそうはいきません。

エアシリンダを電動化する場合はこのような懸念点を把握したうえで検討をしていきましょう。

まとめ

エアシリンダから電動アクチュエータへの移行は今後もさらに増えていくことが予想されます。

時代に乗り遅れないように主要なメーカーの機種については頭に入れておきましょう。