シリンダとアクチュエータの違いとは何か?
エアシリンダとアクチュエータ、表現が区別されていますが、これらは一体どのような違いがあるのでしょうか?
本記事では、エアシリンダとアクチュエータという言葉の本来の意味と、実際には何を意味して使われているのかを説明します。
エアシリンダとアクチュエータは同じものを表す
結論を言うと、本来の言葉の意味として、エアシリンダとアクチュエータには違いはありません。
アクチュエータとは簡単に表現すると装置内の「駆動するもの」のこと。そのためエアシリンダも駆動する機器ですので、アクチュエータです。
アクチュエータの種類の一つにエアシリンダが含まれている、というのが正しい表現となります。
エアシリンダの他、電動スライダ、サーボモーター、DDモーター、カムインデックステーブル、スカラロボット、これらも全てアクチュエータと呼びます。
電動アクチュエータのことをアクチュエータと呼ぶことがある
前述の通りアクチュエータとは駆動する機器全てのことを指します。
ただし最近ではアクチュエータ=電動アクチュエータという意味合いで表現し、エアシリンダと区別して言葉を使い分ける方が多くなっています。
打ち合わせの場の会話の中で、アクチュエータというワードが出てきた時はこの点を注意して聞くようにしましょう。
自分はエアシリンダなど含めて話しているつもりでも、相手は電動アクチュエータに限定して話しているかも知れません。
エアシリンダと電動アクチュエータの違いとは?
では、言葉の意味だけではなく機能的な違いにも触れておきます。エアシリンダと電動アクチュエータではどのように違い、どのように使い分けるべきなのでしょうか?
エアシリンダ
エアシリンダは空気圧の力を利用して動作するアクチュエータのことです。主な特徴は以下の通りです。
- コストが安い
- コンパクトで力が強い
- エア源が必要
- 停止位置は基本2点のみ
エアシリンダは単体のコストは電動に比べて安く、またコンパクトサイズでも大きな力を出すことができるため古くから多くの工場で使用されています。
電動機器と違い、多少エア漏れなど故障が始まっても誤魔化しながら使えるのもメリットです。電動は壊れたら完全に止まってしまいますので。
コンプレッサなど圧縮空気を作る設備がある環境なら、エアシリンダを使用した方がローコストで装置をコンパクトに構成することができます。
電動アクチュエータ
電動アクチュエータはモーターの力で動作するアクチュエータのことです。主な特徴は以下の通りです。
- 停止位置は多点で止められる
- 停止意味を自由に変えられる
- 動作終端の衝撃を抑えられる
- エア源が不要
コストも年々安くなってきており、需要は右肩上がりで増え続けています。停止位置も多点で止めることができ、後から位置を変えることもできます。
エアシリンダはメカ的なストッパで動作を止めるため終端の衝撃が大きいですが、電動なら終端で減速できるため衝撃を抑えられます。
近年は省エネの観点から電動アクチュエータに切り替える場面も目立ちます。エアシリンダは圧縮エアを捨て続けるのでエネルギーの消耗が多いとされています。
また、一から圧縮空気の設備を設けるにも結構な費用がかかるため、エア源が元々ない場合には積極的に電動アクチュエータを使いましょう。
まとめ
エアシリンダとアクチュエータは厳密には同じことを指していますが、実用的にはエアシリンダと電動アクチュエータという区別で使われることが多くなっています。
需要の高まってきた電動アクチュエータ、今までエアシリンダのみを使ってきた方もコレからはうまく使い分けることが必要になってきます。
それぞれの特徴を理解して適材適所で使い分けていきましょう。