エアシリンダのオートスイッチは有接点と無接点のどちらを選べば良いのか?
エアシリンダ用のオートスイッチには有接点と無接点の2種類がありますが、どちらを選べば良いのか迷う場面があるかと思います。
結論から言うと、イニシャルコストを抑えたいなら有接点、長持ちさせたいなら無接点のオートスイッチを選べば良いです。
本記事ではなぜそのような使い分けとなるか、感覚的に認識しておくだけでなく、その理由を知識として持っておけるよう解説します。
オートスイッチの有接点、無接点の仕組みの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて説明していきます。
有接点と無接点オートスイッチの仕組みの違い
有接点のオートスイッチは、通常時では接点が離れており開いている状態(OFF)になっています。
エアシリンダのピストンに内蔵されている磁石に近づくことで接点がくっついて電気信号が出力される(ON)構造です。
対して無接点のオートスイッチはその名の通り、メカ的な接点が存在しません。
内部に素子が内蔵されており、磁石が近づいた時の抵抗値の変化を検知して電気信号が出力される構造となっています。
つまり有接点と無接点の違いは、内部にメカ的な接点が有るか、無いかの違いということです。(名称のままですが)
有接点と無接点オートスイッチのそれぞれの特徴
それでは、有接点と無接点のオートスイッチとでは、それぞれどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
有接点オートスイッチのメリットとデメリット
有接点のオートスイッチは単純な構造のため、安価なコストで製造できるメリットがあります。
防爆環境でオートスイッチを使用する際にも、バリアリレーと組み合わせることで使えるのも有接点の特長です。
また、負荷電圧もAC電圧、DC電圧共に使用することができ、非出力時の漏れ電流もありません。
ただし衝撃により動作が不安定になったり、寿命が無接点と比べて早く故障してしまうデメリットがあります。
無接点オートスイッチのメリットとデメリット
無接点のオートスイッチは有接点と違い駆動部がないので寿命が長く、衝撃にも強いメリットがあります。
チャタリングも起こらず、応差も少なく精度の高い検出ができるのも無接点の特徴です。
その反面、非出力時に漏れ電流があり、コストも有接点に比べ割高である点はデメリットとして挙げられます。
頻繁に故障するような箇所や、故障すると装置に重大な影響を及ぼす箇所には接触的に使いたいところです。
【補足】防爆環境でのオートスイッチ使用について
防爆エリアでエアシリンダを使用する場合、シリンダ自体は電気を使わないので特に問題になりません。しかし、オートスイッチは電気を使うため防爆対応が必要です。
SMCやCKDなど空気圧機器メーカーのシリンダ用オートスイッチには、防爆対応を謳っているものはありません。が、他の機器と組み合わせて使用できる方法があります。
有接点でランプなしのオートスイッチと、IDEC製などのバリアリレーを組み合わせて使用することで防爆エリアで使えるようになります。
有接点ランプなしのオートスイッチはSMCではD-A90やD-A90Vなど、CKDではSW-T5HやSW-T5Vなどが該当します。
最終的な使用可否は、バリアリレーのメーカーに問い合わせるか、取扱説明書を確認して判断するようにしましょう。
まとめ
有接点と無接点のオートスイッチには本記事で示したような違いと、それぞれの特徴があります。
大まかにまとめると、有接点はコストが安いが寿命はそこそこ、無接点はコストは高いが寿命が長い、といった具合です。
選定で迷うような場面があれば、寿命よりもイニシャルコスト安く済ませたい時は有接点、寿命が重要視される時は無接点といった基準で選んでみましょう。