エアドライヤー入門:基本知識と選び方まとめ

エアドライヤの基本知識と選び方

2023年11月30日

エアドライヤーは、工業用圧縮空気システムで重要な役割を果たし、機器効率や寿命を向上させ、製品品質を維持するために欠かせないものです。その能力を発揮させるためには適切なエアドライヤーの選定と運用が重要であり、本記事では、その基本知識と選び方を詳しく解説します。

エアドライヤーの仕組みや種類、選び方のポイント、主要メーカー、設置前の注意点などを紹介し、適切なエアドライヤー選定と効果的な活用の手助けとなるよう説明していきます。

エアドライヤーの基本知識

まずはじめに、エアドライヤーの基本的な仕組みや種類について学びましょう。

エアドライヤーの重要性

エアドライヤーは、圧縮空気システムにおいて非常に重要な役割を担っています。空気中には水分が含まれており、それは温度変化や圧力変化によって液体になります。

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冬に窓が結露するのと同じ原理ですね
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タクミ

そう、あれは室内の空気が急激に冷やされるために発生するものなのです

圧縮空気中に含まれる水分は、機器の腐食や凍結、微生物の繁殖など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。これらの問題は、機器の故障や効率低下、製品品質の低下につながり、結果的に生産コストの増加や稼働率の低下を招くことになります。

エアドライヤーによって圧縮空気中の水分を適切に除去することで、機器の寿命が延び、メンテナンスコストが削減されます。また、製品品質の向上や生産効率の向上にも寄与します。これらの理由から、エアドライヤーは工業用圧縮空気システムにおいて必要不可欠な存在となっているのです。

エアドライヤーの仕組みと種類

エアドライヤーにはいくつか種類があり、それぞれ水分を除去する仕組みも異なります。以下に主な種類とそれぞれの特徴・仕組みについて紹介します。

冷凍式エアドライヤー

冷凍式ドライヤ

圧縮空気を冷却し、水分を液体化させて分離除去する方法です。広範囲の空気処理量に対応できるラインナップがあり、安定した除湿性能が得られるため最も汎用的に使われているエアドライヤーです。メンテナンス・点検は専門知識がない場合は業者に依頼する必要があるため、作業量や訪問のための交通費によっては費用が高くなる可能性があります。

吸湿式エアドライヤー

吸湿式ドライヤ

圧縮空気中の水分を特殊な吸湿材に吸収させることで除湿する方法です。例えば、食品の包装に入っているシリカゲルもこの吸湿剤として使用されます。より高い除湿性能を求められる際に採用されるものですが、定期的な吸湿材の交換が必要です。

膜式エアドライヤー

膜式ドライヤ

圧縮空気を中空糸膜という特殊な膜を通すことで、水分を分離・除去する方法です。圧縮空気を通すだけなのでコンパクトで電気も使わず手軽に使用できます。しかし空気消費量が多いため、大量の処理流量が必要な場合はエネルギー効率はよくありません。ラインの末端で局所的に除湿したい場合などに使用されます。メンテナンスは膜の交換のみで比較的容易に行うことが可能です。

エアドライヤー選定のポイント

エアドライヤーを選定する際には、以下のポイントを考慮して最適な機種を選ぶことが重要です。

圧縮空気の使用量

エアドライヤーのサイズは、圧縮空気の使用量に合わせて選ぶ必要があります。設備で消費する空気流量を把握して間違いのないように選びましょう。また、コンプレッサが決まっている場合は、その容量に合わせて選ぶ方法もあります。

除湿性能(空気圧力露点)

エアドライヤーの除湿性能は圧力露点(℃)という仕様項目で見ることができます。圧力露点が低ければ低いほど除湿性能が良いということになります。設備によって必要な除湿性能が異なるため、適切な性能を持つ機種を選択することが重要です。

圧縮空気の圧力および温度

圧縮空気の圧力や温度によって、適切なエアドライヤーの選定に影響を及ぼす場合があります。特に温度は、吸湿式エアドライヤーなどの性能に大きく影響します。

環境条件

設置場所の温度、湿度、屋内or屋外などの環境条件を考慮して選定しましょう。悪環境では使用できない場合もあるため、使用環境に適応しているか確認しておく必要があります。

メンテナンスおよび運用コスト

エアドライヤーは種類によって運用やメンテナンスの方法が異なり、要する費用も変わります。イニシャルコストだけでなく、運用に必要なランニングコストも含めて総合的に判断して機種を選びましょう。

メーカーとサポート

信頼性のあるメーカーから購入し、アフターサービスやサポート体制が整っている機種を選ぶことが望ましいです。コストや使用だけでなく、耐久性やアフターサポート体制も考慮してメーカー・機種選びを行いましょう。

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これらのポイントを踏まえ、自社のニーズや条件に最適なエアドライヤーを選定しましょう

エアドライヤーの主要メーカー紹介

エアドライヤーの市場には多くのメーカーが存在しますが、ここではSMC、オリオン機械、CKD、白川製作所といった主要な4社について紹介します。

SMC

SMCは、世界的な空気圧機器メーカーであり、信頼性の高いエアドライヤーを提供しています。冷凍式、吸湿式、膜式と各種ラインナップされています。

オリオン機械

オリオン機械は、圧縮空気システムの専門メーカーであり、幅広いエアドライヤーを提供しています。冷凍式のラインナップが多く、吸湿式、膜式のラインナップも有してます。

CKD

CKDは国内2位の空気圧機器メーカーで、エアドライヤーも冷凍式、吸湿式、膜式とそれぞれ幅広いラインナップがあります。

白川製作所

白川製作所は、他社より除湿性能の高い吸湿式エアドライヤーをラインナップしています。より低露点の圧縮エアが求められるケースで検討してみましょう。

エアドライヤー設置前の注意点

エアドライヤーを設置する際には、適切な場所と環境を整えることが重要です。以下のポイントを考慮して、エアドライヤーの設置を計画しましょう。

排気を塞がないように壁とのスペースを設けること

エアドライヤーの排気口が塞がらないように、壁との間に十分なスペースを設けることが重要です。これにより、効率的な排気が可能となり、エアドライヤーの性能が低下することを防ぎます。

メンテナンススペースを設けること

定期的なメンテナンスが必要なエアドライヤーのため、設置時にメンテナンススペースを確保しておくことが重要です。十分なスペースがあることで、作業がスムーズに行えるため、長期的な運用にも役立ちます。

メンテナンスしづらい位置はできるだけ避けること

エアドライヤーを設置する際は、高い位置などメンテナンスが困難な場所を避けることが望ましいです。手の届く範囲で設置することで、メンテナンスが容易になり、トラブル時の対応も迅速に行えます。

屋外設置する場合は屋外仕様に対応してるか確認すること

エアドライヤーを屋外に設置する場合、屋外仕様に対応した製品であることを確認してください。耐候性や防錆性が強化された屋外仕様の製品を選ぶことで、長期間にわたって安定した性能を発揮できます。

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これらの注意点を踏まえてエアドライヤーを設置すると、長期運用や効率的なメンテナンスが可能になります

まとめ

本記事では、エアドライヤーの基本知識、選定のポイント、主要メーカー、そして設置前の注意点について解説しました。適切なエアドライヤーを選び、適切な設置を行うことで、効率的な運用が可能となります。自社のニーズに合ったエアドライヤーを選定し、長期的な安定運用を目指しましょう。